エクセル在庫管理が「静かに壊れる」前に起きていた5つのこと——失敗事例から逆算する、撤退判断の現実 ─ 在庫管理のDXに | 完全無償クラウド型ソフト「Spes」

 

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エクセル在庫管理が「静かに壊れる」前に起きていた5つのこと——失敗事例から逆算する、撤退判断の現実


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エクセル在庫管理が「静かに壊れる」前に起きていた5つのこと——失敗事例から逆算する、撤退判断の現実

執筆:Spes編集部

「気づいたときには手遅れだった」という声を、エクセル在庫管理の現場でよく聞く。ファイルが壊れた、数字がずれていた、ではない。もっと静かな崩れ方だ。誰も「限界」とは言わないまま、ミスが日常になり、確認作業が増え、担当者が疲弊していく。この記事では、そうした現場で実際に何が起きていたかを失敗事例の形で整理し、「どの時点で手を打てたか」を考える。

失敗事例① 「誰かが直す」ルールがなかったファイル

Photo by Mikhail Nilov on Pexels
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卸売業を営む中村商事(仮称、従業員28名)では、在庫管理ファイルを3名の担当者が共有していた。ファイルはネットワーク上に置かれ、各自がそれぞれのタイミングで開いて編集する運用だった。

問題が表面化したのは、月次の棚卸し後だ。システム上の数字と実在庫の差が、繰り返し20〜30点ほど出るようになった。調べると、同じ行を2人が同時に上書きしていたケースや、古いバージョンのファイルを保存してしまったケースが積み重なっていた。

「誰かが最新版を管理する」という役割が決まっていなかったため、どのファイルが正しいのかを確認するだけで毎回30分以上かかるようになった。

この失敗から見えること:エクセルの共有運用は、更新者が1〜2名の範囲であれば成立しやすい。3名を超えた時点で「誰が最新版を持っているか」の管理コストが急増する。人が増えるほど、ファイル自体ではなく「ファイルの管理」に時間を使い始めたら、それが崩れ始めのサインだ。

図:エクセル在庫管理が崩れるまでの典型的なフェーズ

失敗事例② 棚卸しの頻度を下げて「見なかったことにした」現場

Photo by Mikhail Nilov on Pexels
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小売業の渡辺フーズ(仮称、店舗数4店)では、月次で行っていた棚卸しを「忙しい」という理由で四半期に一度へ変更した。エクセルの更新が追いつかなくなったため、「どうせ合わないなら頻繁に数えても意味がない」という判断だった。

結果として、賞味期限の近い食品の実在庫を把握できなくなり、廃棄ロスが年間で約180万円に拡大した。棚卸し間隔を広げたことで在庫数字への不信感が高まり、発注担当者は「念のため多めに頼む」という行動を取るようになっていた。

ここで見逃せないのは、「棚卸し頻度を下げる」という意思決定がエクセルの限界に対する回避行動だった点だ。本来なら更新の仕組みを見直すべきだったが、そのコストを後回しにした結果、損失が先に来た。

失敗事例③ 担当者が1人になって初めて限界が見えた

製造業の伊藤部品工業(仮称、従業員45名)では、10年以上エクセルで在庫を管理してきた。長年の担当者が退職したとき、後任の山田さんが引き継いだファイルには独自のマクロと関数が入り組み、どこを触ればどこが壊れるかが分からない状態だった。

山田さんは前任者が残したメモを頼りに運用を続けたが、品番が3桁増えたタイミングでVLOOKUPの参照範囲が足りなくなり、半日かけてもエラーが直せなかった。その週の出荷判断が2日遅れ、取引先1社に欠品通知を送る事態になった。

この事例が示すのは、「ファイルが動いている」ことと「ファイルを使いこなせる人がいる」ことは別、という点だ。担当者の異動や退職を機に、長年問題なかったエクセル管理が一気に機能しなくなるケースは珍しくない。

在庫管理の仕組みについて社内で相談できる専門家が必要と感じたら、Spesへの問い合わせから現状をヒアリングしてもらうことを検討してほしい。

失敗事例④ 拠点が増えたときにファイルが「分裂した」

卸売業の小林物産(仮称、拠点3か所)では、本社と2つの営業所がそれぞれ独自のエクセルファイルで在庫を管理していた。拠点間の在庫移動は電話で連絡し、それぞれのファイルに手入力する運用だった。

ある月、営業所Aで「在庫あり」と表示されていた商品が実際には営業所Bに移送済みだったことが発覚し、顧客に対して誤った納期を伝えてしまった。担当者が電話メモを取り忘れたことが原因だったが、そもそも連絡の抜け漏れが起きれば即座に不整合が生じる構造だった。

拠点が1か所の間はエクセル管理が成立していても、2拠点目が生まれた瞬間に「在庫の全体像が誰にも見えない」状態になりやすい。これは規模の問題ではなく、ツールの設計上の限界だ。

拠点数・担当者数エクセルで起きやすい問題移行を検討するタイミング
1拠点・1〜2名上書き事故、バージョン管理ミスミスが月2回以上繰り返されたとき
1拠点・3名以上同時編集による不整合、確認コスト増大確認作業が週4時間を超えたとき
2拠点以上在庫情報の分裂、連絡漏れによる欠品拠点間の移動が週1回以上あるとき
担当者が交代した属人化したファイルが引き継げない引き継ぎに2週間以上かかったとき

失敗事例⑤ 「来月から直す」が3年続いた会社

EC事業者の鈴木ストア(仮称、月商600万円)では、エクセルの在庫ファイルが楽天・Yahoo!ショッピング・自社サイトの3モールと連動していなかった。各モールの在庫数を手動で同期する作業に、毎朝45分を費やしていた。

担当の佐藤さんは「在庫管理システムを入れたい」と上長に提案していたが、「費用対効果が見えない」「今期は予算がない」という返答が続いた。その間に二重販売が3回発生し、キャンセル対応と顧客への謝罪で計8時間を消費した。

後に試算したところ、3年間の手動同期作業と二重販売対応にかかった工数は、在庫管理システムの初期費用を上回っていた。「来月から直す」が先送りされる間に、すでに損失が発生していたわけだ。

Spesのようなクラウド型の在庫・受発注管理システムは、複数モールの在庫を一元管理し、手動同期をなくす構造を持っている。「検討を始める」だけでも、現状の工数計算と費用比較ができる。疑問があれば問い合わせフォームから相談してほしい。

5つの失敗に共通していたこと

ここまで挙げた失敗は、いずれも「ある日突然崩れた」のではない。崩れる前に、担当者が何らかの不便を感じていた。それでも動いていた理由は、「まだギリギリ使えた」からだ。

エクセル在庫管理の限界は、ファイルが開けなくなった日ではなく、確認コストが増え続けている段階にすでに来ている。今回の5事例を読んで「似た状況がある」と感じた場合、その感覚は正確だと思ってよい。

参考として、経済産業省・中小企業庁が公開している中小企業のデジタル化動向に関する統計はe-Stat(政府統計ポータル)でも確認できる。業種ごとの導入状況を把握する際に役立つ。

よくある質問

エクセルから移行するとき、どのタイミングが最も多いですか?

担当者の異動・退職、取引先の増加、拠点の追加、この3つのタイミングで相談が増える傾向がある。いずれも「今の運用が通用しなくなる」変化が生じるタイミングだ。逆に言えば、これらの変化が近づいているなら、変化が起きる前に準備しておくほうが現場の混乱を減らせる。

システム導入の費用対効果をどう計算すればいいですか?

手動作業の時間×時給コスト、ミス対応の頻度×1回あたりの処理時間、この2点を現状で計算するだけでも目安が出やすい。前述の鈴木ストアの例のように、毎日45分の手作業は年間で180時間以上になる。導入費用と比較する材料として使いやすい。

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