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コラム
居酒屋・カフェ・ラーメン店——業態で全然違う「食材在庫管理のつまずき方」と、それぞれの立て直し策

執筆:Spes編集部
飲食店の食材在庫管理は「どの業態か」によって、崩れる場所がまったく異なる。居酒屋でうまくいった管理方法がカフェでは使えない、というケースは珍しくない。それぞれの業態が抱える課題の「形」を比較しながら、どこから手をつければ在庫の無駄と欠品を減らせるのかを整理する。
業態ごとに「食材在庫の崩れ方」が違う理由

| 課題の整理 現場で起きていること | → | 原因・整理 構造・ボトルネック | → | 解決の方向性 クラウド活用など |
| 記事の整理:課題 → 整理 → 解決 | ||||
飲食店の食材在庫は、業態ごとに使用する食材の種類・消費スピード・廃棄リスクが大きく異なる。同じ「在庫管理が難しい」でも、居酒屋とカフェとラーメン専門店では、問題が起きるタイミングも、損失の出方も別物だ。
業態によって食材の品目数・廃棄リスク・管理上のボトルネックはそれぞれ異なる
以下で3業態を順に見ていく。
居酒屋——品目の多さと曜日波が重なる、廃棄ロスの温床

居酒屋が食材管理で最も苦労するのは「品目数の多さ」と「曜日ごとの客数のブレ」が重なる点だ。鮮魚・野菜・肉・豆腐類など、1店舗で扱う食材が50品目を超えることも珍しくない。加えて、金曜の夜と火曜の夜では来客数が2〜3倍変わる業態でもある。
ある中堅居酒屋チェーンの店長・渡辺さんの話では、月曜仕入れの鮮魚を木曜の時点でまだ半分残しており、週に一度は一定量を廃棄していたという。「毎週ではないけれど、月単位で合算すると食材廃棄だけで粗利の5〜7%が飛んでいることに気づいた」とのことだった。これは本当に痛い話だ。
居酒屋に多い失敗の構造は単純で、「過去の仕入れ量をそのまま繰り返す」ことにある。記念日・連休・雨天などのイベント要因を仕入れ判断に反映できていないため、廃棄と欠品が交互に発生する。
- 曜日・イベント別の「平均来客数」を月次で集計し、仕入れの基準量を週ごとに見直す
- 廃棄が出た食材・日付を記録する習慣をつけ、翌週の発注量に反映する
- 鮮度が落ちやすい食材は「2〜3日分ずつ発注」に切り替え、まとめ買いを抑える
カフェ——品目は少なくても「季節切り替え」と「少量発注の判断」が難しい
カフェは扱う食材の種類が比較的絞られているため「管理が楽そう」に見られがちだが、実態は別の難しさがある。季節限定メニューの導入・終了タイミングで食材が余ったり欠品したりするのが典型的な問題だ。
都内でカフェを2店舗経営している小林さんは、秋のラテメニュー切り替えの際に「スパイス系の原材料を多めに仕入れてしまい、シーズン終了後に在庫を抱えた」経験があると話す。市場での仕入れを主とするコーヒー豆も、ロット単位の縛りがあるため「あと少しだけほしい」ときに融通が利かない。
カフェの課題は「少量・高品質・短サイクル」の食材を扱う中で、発注タイミングの精度を上げることにある。
| 業態 | 在庫管理の難しさ | 主な損失の形 |
|---|---|---|
| 居酒屋 | 品目多数+曜日波 | 廃棄ロス(鮮魚・野菜) |
| カフェ | 季節変動+少量発注 | 季節在庫の積み残し |
| ラーメン専門店 | 仕込み量の精度 | 売り切れ機会損失・過剰仕込み |
カフェでまず取り組みやすいのは、メニュー切り替えの2〜3週前から「現行メニューの食材消費ペース」を記録し、切り替え日に向けて逆算した発注計画を立てることだ。スプレッドシートでも構わないが、「いつ何が残っているか」を数字で見えるようにするだけで判断が変わる。
ラーメン専門店——品目は絞れているのに、仕込み量の誤差が売上に直結する
ラーメン専門店は提供メニューが絞られているため、扱う食材の種類自体は少ない。しかし、チャーシュー・スープ・麺の仕込み量の精度が売上に直接影響するという独特の難しさがある。
仕込みが足りなければ「本日スープ切れ」で閉店になり、機会損失が発生する。逆に余らせたチャーシューやスープは翌日に持ち越しが難しく、廃棄になりやすい。開業3年目の店主・伊藤さんは「仕込みを増やせば余り、絞れば売り切れる——この繰り返しを半年続けた」と語る。その間、毎日の来客数・曜日・天気・近隣イベントの有無を手書きノートで記録し始めたことで、ようやく仕込み量の「基準値」が見えてきたという。
ラーメン専門店での改善の起点は、「日別の仕込み実績と売上数(杯数)を最低1ヶ月分並べて見る」ことにある。それだけで、曜日ごとの必要仕込み量の傾向が浮かび上がってくる場合が多い。
3業態に共通する「仕組み化の前に整えること」
業態によって課題の形は異なるが、クラウド型の在庫管理ツールを導入する前に共通して整えておくべき点がある。
ツールを入れる前に「記録と基準」を整えておくと、効果が出やすくなる
- 廃棄・欠品の記録を始める:何が・いつ・どれだけ余ったか(捨てたか)を記録しないと、改善の起点が見えない。日付・品目・数量だけで十分だ。
- 曜日・季節別の発注基準量を設定する:「だいたいこのくらい」という感覚を数字に落とし込む。最初は粗くてよい。
- 在庫の「見える化」から始める:クラウド型ツールの活用はこの次のステップ。記録と基準ができてからツールを導入すると、定着しやすい。
飲食業向けのクラウド在庫管理ツールは近年増えており、バーコードや手持ちデバイスで在庫の入出庫を記録できるものも普及してきた。ただし、どのツールを選ぶかよりも「日々の記録が続く仕組みを店舗内に作れるか」の方が、効果の出方を大きく左右する傾向がある。
Spesのクラウド型在庫・受発注管理は、複数拠点・複数倉庫の一元管理を想定した中小企業向けの設計になっている。「まず何から始めればいいか」という段階から相談できる体制を設けているので、業態ごとの課題感を持って問い合わせてみてほしい。Spesへの相談・お問い合わせはこちら。
よくある質問
飲食店の食材在庫管理は、エクセルで対応できますか?
品目数が少なく、1〜2名で管理するうちはエクセルでも機能する。ただし、複数スタッフが同時に更新する状況や、品目数が50を超えてくると更新漏れ・バージョン混在が起きやすい。記録の手間が増えてきたと感じたタイミングが、ツールへの移行を検討する目安になる。
食材廃棄ロスを減らすには、何から手をつければいいですか?
まず「何が・いつ・どれだけ廃棄されているか」を1〜2週間記録することから始めるのが現実的だ。廃棄量を数字で把握できると、発注量の見直し箇所が具体的に見えてくる。対策を考えるのはその後でよい。
飲食店向けの在庫管理ツールを選ぶポイントは何ですか?
「現場スタッフがスマートフォンやタブレットで入力できるか」「使い始めるまでの設定が複雑すぎないか」の2点が実態に合った選び方の基準になりやすい。機能が豊富でも現場に定着しなければ意味がないため、試用期間がある製品を優先的に確認したい。
参考:食品産業に関する統計・業態別の事業者数などは、政府統計ポータル(e-Stat)で確認できる。
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