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コラム
物流業界の2024年問題、現場で機能する対策とは——ドライバー不足・配送コスト上昇への具体的な向き合い方

執筆:Spes編集部
2024年4月、トラックドライバーへの時間外労働上限規制が適用された。いわゆる「物流業界の2024年問題」だ。荷主企業の物流担当者にとっては「知っていた話」かもしれないが、実際に自社の配送体制が変わったかと問われると、言葉に詰まる人も少なくない。
食品卸を営む渡辺商事(仮名・従業員40名)の物流担当、渡辺さんは2024年春以降、週に1〜2回は「配送の遅延連絡」を受けるようになったと話す。「ドライバーが残業できなくなったことで、一部ルートが翌日配送から翌々日配送に変わった。得意先から苦情が来るたびに、謝るだけで終わっていた」。問題は分かっているのに、手を打てていない——そんな状況は決して珍しくない。
2024年問題で実際に何が起きているか

| 課題の整理 現場で起きていること | → | 原因・整理 構造・ボトルネック | → | 解決の方向性 クラウド活用など |
| 記事の整理:課題 → 整理 → 解決 | ||||
時間外労働の上限が年960時間に制限されたことで、ドライバー1人あたりの走行可能距離・時間が実質的に減少した。国土交通省の試算では、対策を講じなければ2024年時点で輸送能力が約14%不足するとされていた。この数字が現実のものとなり、多くの荷主企業が「配送枠の確保」そのものに苦労する局面に入っている。
影響が出やすいのは以下の3点だ。
- リードタイムの延長:当日・翌日配送が維持できなくなり、顧客への納期約束の見直しが必要になる
- 配送コストの上昇:ドライバー確保のための運賃値上げ交渉が各地で起きており、物流費が前年比10〜20%増というケースも報告されている
- 在庫戦略の狂い:「必要なときに届く」前提で設計されていた在庫水準が、リードタイム延長によって欠品リスクにさらされる
配送リードタイムが延びると、従来の安全在庫計算が崩れる。「2日後に届く」前提で設定していた在庫が、「4日後」になった瞬間に欠品の温床となる。配送条件の変化に合わせて、安全在庫・発注点の再計算を行うことが急務だ。
荷主企業が取れる対策——3つのアプローチ

2024年問題への対応は「物流会社に任せる」だけでは終わらない。荷主側の業務設計を変えることで、コスト上昇を抑えながら配送品質を維持できる余地がある。
1. 配送の集約・共同輸送への切り替え
小口配送の回数を減らし、まとめて届けるルートに組み替えることでドライバーの拘束時間を短縮できる。複数の荷主が同一エリアに配送する場合、共同輸送(物流の共同化)を検討する価値がある。農林水産省・国土交通省は共同輸送推進のガイドラインを公開しており、業界団体経由での取り組み事例も増えている。参考情報は国土交通省(mlit.go.jp)から確認できる。
2. 受発注データの一元管理による出荷平準化
注文が特定の曜日・時間帯に集中することで、配送の波が生まれる。この波が大きいほど、ドライバーへの負荷も集中する。受注データをリアルタイムで把握し、出荷スケジュールを平準化することが有効だ。
受注・在庫・出荷データを一元管理するシステムを導入することで、在庫回転率の向上とコスト削減の両立につながる。在庫と受注を同一画面で管理できる環境が整うと、「いつ・何を・どこから出荷するか」の判断スピードが上がり、配送枠の有効活用にもつながる。Spesのようなクラウド型の在庫・受発注管理ツールは、複数倉庫・複数拠点の在庫を一元管理する仕組みとして、こうした用途に対応している。
3. 在庫配置の最適化——どの倉庫に何を置くか
複数の配送拠点を持つ場合、在庫を需要地の近くに分散配置することでドライバーの走行距離を減らせる。ただし、在庫の分散は「どこに何があるか分からない」状態を生みやすい。在庫・受注・倉庫データを統合管理する仕組みがなければ、欠品と過剰在庫が同時に発生するという矛盾に陥る。
中小企業が物流コスト削減と在庫最適化を同時に実現するには、受注・在庫・倉庫データの統一管理システムが現実的な解の一つだ。拠点ごとに在庫状況をリアルタイムで把握できれば、無駄な緊急輸送を減らし、配送コストを構造的に下げる道が開ける。
「分かっているのに動けない」会社に共通する構造
2024年問題の対策が進まない現場には、いくつかの共通点がある。
| よくある状況 | 背景にある問題 |
|---|---|
| 在庫水準を見直せていない | リードタイム変化をシステムに反映する仕組みがない |
| 出荷が特定曜日に偏っている | 受注タイミングと出荷計画が連動していない |
| 配送コストが上がったが対策できていない | コスト構造が可視化されておらず、どこを削るか判断できない |
| 複数拠点で在庫の所在が把握できていない | 在庫管理がエクセルや拠点ごとのローカルシステムで分断されている |
共通しているのは「データが手元にない」か「データはあるが活用できていない」という点だ。2024年問題は物流会社だけの問題ではなく、荷主企業の情報管理の問題でもある。
よくある質問
2024年問題は大企業だけの話ではないですか?
中小企業こそ影響を受けやすい。大手荷主は運賃交渉力が強く、優先的に配送枠を確保できることがある一方、中小の荷主は後回しにされるリスクがある。早めに配送パートナーとの関係構築と自社の業務改善に着手することが重要だ。
共同輸送に参加するにはどうすればいいですか?
業界団体や地域の物流事業者が主導するケースが多い。国土交通省の物流効率化施策に関する情報も参考になる。まずは現在の物流会社に相談するか、同業他社との情報交換から始めるのが現実的だ。
在庫管理システムを導入するほどの規模でなければ意味がないですか?
月商1,000万円以下の企業でも、複数拠点・複数商品を扱う場合には在庫の可視化は有効だ。クラウド型のサービスは初期コストを抑えられるものも多く、規模より「在庫の所在が分からない状態が業務ロスになっているか」で判断するのが適切だ。
次のアクション——今週から始められること
2024年問題への対応は、大規模なシステム投資から始める必要はない。まず確認すべきは「現在の配送リードタイムが変わったかどうか」と「それに合わせて安全在庫・発注点を見直したかどうか」の2点だ。この2点が整っていない段階で高度な対策を打っても、土台が崩れたままになる。
受注・在庫・出荷データを一カ所に集めるだけで、出荷の平準化や在庫配置の見直しに必要な情報が揃ってくる。在庫管理の失敗事例や具体的な改善アプローチについては、Spesのコラム(在庫管理の失敗事例と解決策)にも事例が整理されている。
自社の物流コスト構造や在庫管理の現状について整理したい場合は、Spesへの相談・問い合わせから状況を共有いただければ、具体的な改善の方向性をお伝えできる。
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